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痛ッ! ゴルフの虫に噛まれたゾ

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痛ッ! ゴルフの虫に噛まれたゾ
夏坂 健
2007年07月31日 ゴルフダイジェスト新書

夏坂 健

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内容から、一部、紹介しましょう。

サンモリッツの奇跡

「欧州一のショートアイアンの名手」と呼ばれ「バスクの勝負師」と恐れられたジャン。
コースに到着して1番ティに向かうと、私に素振りをさせて仔細に観察した彼は、強い口調で言った。
「振り過ぎる!」

それから具体的に4つのアドバイスを与えてくれた。
グリップを2センチ余らせて握ること。
1番手大きいクラブを持って小さく振ること。
どのクラブも地面と平行に、やさしく掃くように振ること。
そして、グリーンの近くではボールを右足の前に置いて5番アイアンを持ち、パターのように打つこと。

「1番手大きなクラブを持った効果は、自分でもおどろくほどだった。
いつものように振り回せない。そこで静かに掃くようにスウィングせざるを得ないのだ。
ボールは若干ハーフトップ気味だったが、ジャンはそれでいいのだと言った。
トップは目的の7割に近づくショットだが、ダフリはゼロ、トップを打ち続けろと笑った」
・・・・・・・・・・
アウトの9ホールが終わってみると「41」の快スコア。

ところがジャンに言わせると、「まだ振りすぎる。もう1番手大きくしてみよう」
そこで後半は、さらにスウィングを小さくして、
「チョコンと当てる程度にしか振れなくなったが、われながらびっくりするほど方向性が良くなった」。
「さらに5番での転がしにも馴れてきて、
いかに今までウエッジを持って損をしたか、痛いほどわかったのである」

適切なジャンの指示に従って、彼はコンパクトにクラブを振り続けて18ホールが終わった。
「たしかにコースがフラットだったことも味方したのだろう。
おどろくなかれ、ロングホールではバーディーまで奪って、私は「38」でプレーを終了させたのだった。
100を切るのがやっとだったこの私が、80台を一足跳び、なんと「79」でラウンドしたのだから、
一番おどろいたのは私自身である」

「転がし方さえ覚えれば、誰だって70台で回れるものさ」とは、ジャンの言葉だ。


ゴルフは、端麗に戯れてこそ

普通、ゴルファーは2種類に分けられる。
「狂」の字のタイプになると寝食を忘れ、仕事も家庭も上の空、天気のいい日にはゴルフを想い、
長いものを見ると振り回し、姿が映えればフォームを作る。
かつて異性のことを考えた数だけゴルフを考え、
無意識のうちに右ひざを送ったり腰をひねったり、身辺に偏狂ぶりが濃厚である。

バルフォア卿の凄いところは、仕事もゴルフも高い水準で渾然一体の人生をまっとうしたところにある。
これは出来そうでいて相当に難しい話。たとえば1848年にスコットランドで生まれた卿は、
7歳でゴルフの神童といわれ、14歳のころにはプロ転向をすすめられたこともある。
ところがケンブリッジ大学を首席で卒業すると、26歳の若さで下院議員に当選。
・・・・・首相になる前の年、超多忙の中でパーラメンタリー・トーナメントに優勝。
おどろいたことに首相就任の年、3度目の優勝を飾った。

1922年には、国家に対する長年の功績によって」伯爵を授与されたが、その祝賀会でのスピーチ。
「身に余る栄誉を頂戴したが、正直なところ、欲しかったのは書物と
ゴルフクラブとゲームを愉しむ時間である。この三つ以外のものを私は望んだことがない。
私の理想は、多く読み、少なく書き、たくさんゴルフをすること、これにつきる」


痛ッ!ゴルフの虫に噛まれたゾ

「ハーブ」の愛称で呼ばれるハーバード・ウォーレン・ウィンドは、
1916年、マサチューセッツ州のブロックトンで生まれた。

「ほんの一瞬でいい、グリーンからティグランドを振りかえってみようじゃないか」
ウィンドのこの着眼の鋭さ。
たしかにいま終わらせたホールの全景を振り返る余裕によって、
ゴルファーはそれまで体験したことのない新鮮な感慨を味わうはずである。

たとえばパーで上がった場合、はるか遠くに見えるあのティから、
広い大地の中にあってはミクロ的存在ともいえる直径108ミリの小さな穴に、
たった4回でぴたりと納めてしまったのだ。

われとわが身が演じた精緻にして大胆な成果は、
これぞ快挙と呼ぶにふさわしく、バーディなど奇跡としかいいようもない。

もしボギー以上叩いたとしても、コースを振りかえることで納得がいくだろう。
なぜならば途中でマウンドがあり、バンカーもあり、池や谷、OBもあった。
凶悪なライを相手に四苦八苦した末にたどり着いたグリーンにしても、
決して平たんなどと呼べたシロモノではない。

自分の技量と経験の未熟さを率直に認める美徳があるならば、
むしろ5打、6打で終わらせたのは褒賞もの、7打、8打は仕方あるまいと考えるべきで、
クサるのは放漫、わがまま、自己過信の度が過ぎる。

つまり、行く末は楽しみにとっておいて、とりあえず越し方を眺めてごらんなさい、
あなたのゴルフがいい方向に変わるから。

KAZU(kmgh@angel.ocn.ne.jp)
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「良質の素材を吟味する感性、極上の味に調理するセンス、
それを豊穣なる作品に昇華する文体。

これだけの筆力を備えた書き手は
何年に一人の作家ではなく、もう二度と出てこない」

・・・・・高橋三千綱